フリーウェアCAE:SalomeMeca/CoreAsterの概要

サイトで記事を投稿しているSalomeMeca/CoreAsterについて紹介します。
2020年に1年間かけてSalome-Mecaを使ってみた感想を書いています。
Salome-Meca による解析事例も随時更新しています(2022.9.24更新 緑マーカー部)

1.概要

1.1 SalomeMecaについて

SalomeMecaは、構造解析ソフトウェアでフランスの大手電力会社eDFにより開発されました。
中身は、

(1)3Dモデル作成機能( Geometry)
(2)メッシュ作成機能(Mesh)
(3)FEM解析設定条件の設定(Aster)
(4)解析結果の確認(Pallaview)
の4点です。
このソフトはこの4点が一つになっているので、(1)~(4)の流れを一気通貫でできます。
商用のソフトウェアの場合、CATIA、Abaqusも同様の機能を有しています。
使い方として、3DCADで作成したモデルをSalomeMecaにインポートして解析を行うことも可能です。

図1 geometryの操作画面
図2 Meshの操作画面
図3 Asterの操作画面
図4 Pallaview

1.2 使用環境(Windows10,Windows11でも使えます)

対応OSはLinux用です。仮想化ソフトウェアを導入すれば、Windows版(windows10)でも使用可能です。
私の場合は、VirtualBoxを使用してubuntuにインストールをして使用しています。2021年からはSalomeMeca2019をVirtualbox上にCAELinuxをインストールして使っていきます。
(環境設定の詳細はこちらを参照ください)
昨年末にWindows11用のノートパソコンに Virtualbox上CAELinuxをインストールしたところ、動作を確認しています。
Windows10は、普及しているHomeEditionは2025年10月までサポートしていることから、一度環境を導入すれば、あと3年近くは使用可能です。

2.できること

インターネット上の資料を見ていくと、以下のFEM解析ができるといわれています。
(1)線形構造解析(部品単品、アセンブリ)
(2)非線形構造解析(部品単品、アセンブリ)
(3)定常伝熱解析(部品単品、アセンブリ)
(4)非定常伝熱解析(部品単品、アセンブリ)
(5)振動解析(部品単品、アセンブリ)
他にももう少しありそうです。

3.やった見た感想とメリット、デメリット(2020年当時の感想)

2020年に1年間Salome-Mecaを使用した感想とメリット、デメリットを書きます。
感想は、CAEの機能は充実しており、むしろすべての機能を使いこなすのが難しいと思います。
インターネット上の情報を見ながら少しづつ覚えていき、半年程度たってからブログに書けるぐらいにまで使えるようになりました。
市販のノートパソコンで学習用途で十分使えました。また、部品数点のアセンブリ解析であれば十分運用可能で、実務でも耐えられると推察します。
本サイトの記事は、2020年後半から半年間ほぼ毎週CAE解析をやった結果を投稿しています。ブログ投稿も初挑戦であり、勉強時間はかかったもののやったらできました。
メリット、デメリットは以下だと考えます。

3.1 メリット

(1)個人でCAEを始められる。
 Salome-Mecaはフリーウェアです。一方、商用ソフトはライセンス費用が年間数十間単位かかり、個人ではとても維持できません。商用ソフトは、サポート体制があるので、その分の費用だと考えています。
(2)主要な解析機能はカバーしている。
 構造・伝熱解析は、材料力学や伝熱工学の公式と照合しながら計算をしたところ、ほぼ一致していたことから妥当な解析ができていたと考えます。なお、亀裂、クリープなどの解析もできるようです。
(3)メッシャ機能が充実している。
 私自身は流体解析はまったく行いませんが、流体解析をおこなうときのメッシュの作成に使われることが多いようです。

3.2 デメリット

(1)エラーメッセージがフランス語である。
 google翻訳等で中身を参照しながら解読しているが、わかりにくい。
(2)使用環境の環境設定につまづきやすい。
 今回SalomeMecaをインストールする際にとても困りました。何回インストールし直したことか…。
 試行錯誤した結果、2020年はWindows版ではSaomeMeca2018、SalomeMeca2019だとVirtualbox上のLinuxにインストールする方法で対応しました。
(3)古いバージョンの解析データが使えないことがある。
 勉強用に古いバージョン(SalomeMeca2012)のコマンドファイルを流用しようとするとエラーが出てきました。

4.解析結果事例の紹介

本ブログに掲載したFEM解析結果の分類しています。こちらからもアクセスできます。

4.1 線形構造解析

片持ちはり(1D)の変位片持ちはり(シェル要素)の変位トラス部材の荷重計算円筒の圧縮穴あき平板の解析

4.2 非線形構造解析

(1)単品
 薄板の変形

(2)アセンブリ
 円筒のはめあい両もちはりの解析

4.3 定常伝熱解析

(1)単品
 円筒の伝熱解析
(2)アセンブリ
 複数板の定常熱伝導

4.4 非定常伝熱解析

(1)単品
 非定常熱伝導解析
(2)アセンブリ
 ヒータプレートの伝熱解析

4.5 振動解析

(1)単品
 はりの固有振動値の計算
(2)アセンブリ
 使ったことがないのでここは不明です。普段、業務でも使わないので、わからないというのが結論です。

4.6  連成解析(熱と構造)

(1)アセンブリ
2円筒の熱応力解析

4.7 3DCADと連携を行った解析

3DCADで作成したモデルをSalomeMecaにインポートを行い解析を行いました。フォーマット形式はstepファイルであればできることを確認しています。

ヒータプレートの伝熱解析

4.8 解析と実験

SalomeMecaで行った伝熱解析(非定常熱伝導解析)と実験結果を比較しています。解析結果は、実験結果に近い傾向を示していました。

丸棒の伝熱解析と実験

5.しょちょーが解析するときによく見ているページ

もともとがフランスで作られたソフトウェアであり、情報が少なく、また、あったとしても情報も10年前のものだったり調べるのが大変です。サイト管理人がよく見ているサイトを紹介します。

(1)公式ページ
フランス語が公式、英訳もありますが、外国語なので覚えようとすると少々気合がいります。
国内でも検索すると使っている方はいるので、調べるのも手だと思います。

Code_Aster

(2)Jun_Tatsunoさんのページ(Qiita)

https://qiita.com/Jun_Tatsuno

(3)小林技術士設計事務所さんのページ

https://hitoricae.com/

(4)Code_Aster & Salome-Meca 日本語解説
https://sites.google.com/site/codeastersalomemeca/home

(5)一般社団法人OpenCAE学会 資料翻訳委員会のページ

http://www.opencae.or.jp/activity/committee/ducument_translation/

6.書籍

2022.9.10に「自宅ではじめる構造解析:オープンソースCAESalomeMecaを用いた構造・接触・熱応力解析事例集」を技術書典へ出品しました。
本書はまずは触って体験できるをコンセプトにしており、3例の解析チュートリアル集とSalomeMecaの関連情報は、SalomeMecaを使いこなすうえでのWindows版SalomeMecaのインストール情報、有用サイト、有限要素法の勉強に読むといい本を記載しています。
ご興味がありましたらご購入ください。

書籍URL:https://techbookfest.org/product/2nD4Bya20e5SnwE25MAvnq?productVariantID=mP1zKwhRFx2iAfiuUbAJSL