SalomeMecaのメッシュデータを使ってPrepomaxで計算してみた

SalomeMecaの解析データをPrepomaxで流用できないか試しました。
狙いは、
1)過去に解析を行ったデータを他のソフトで解析することで、Prepomaxの計算結果の妥当性を確かめられる。
2)解析済みのデータを他のソフトで解析することで、Prepomaxのインプットミスをチェックできる。ソルバーがcalculixという実績のあるソルバーを用いているから計算のバグは少ないと予想できるため、結果がおかしい場合は、上記の可能性が高い。
3)SalomeMecaのメッシュ作成機能は優れているので、Prepomaxで作成できないメッシュはSalomeMecaで行いたい。
Prepomaxは、3角形要素、四面体要素のみメッシュを作成できるのに、SalomeMecaは、バー要素、3角形要素、四面体要素、4角形要素、6面体要素も作成できる。

使用環境:
OS:Windows11
SalomeMeca:SalomeMeca2021 for windows
Prepomax:Prepomax1.3.5

1.やったこと

自分がSalomeMecaで解析した事例をPrepomaxで解析をおこないました。、

1)SalomeMecaのメッシュファイル(.med)をunv形式にエクスポートする。
2)Prepomax上でメッシュインポート
3)Prepomax解析実行

使ったメッシュは、2次元要素(4面体要素)、3次元要素(6面体要素)の2種類を使いました。

2.事例1:定常熱伝導(6面体要素)

2.1 概要

2枚の板を重ねて、片面に温度と熱流束を設定したときに反対側の面の温度を計算しました。なお、片面の温度と熱流束は均一と仮定しています。
SalomeMecaでは複数板の定常熱伝導|Salome-Meca (aytechlab.com)にて解析をしています。

  • 板:1辺2mの正方形、厚み0.02m(20mm)x2枚
  • 熱伝導率:アルミ236 W/m・KSUS304 19W/m・K
  • 高温側温度:100℃
  • 熱流束:250W/m2(板には1000W)
  • メッシュ:6面体1次要素

2.2 Prepomaxへメッシュインポート

1)SalomeMecaからメッシュをエクスポートします。
操作方法は、メニュバーからFile- >Export -> unv形式を選択して、ファイル名を付けて保存します。
2)Prepomaxからメッシュをインポートします。
操作方法は、メニュバーからFile- >Import を選択し、インポートしたいメッシュファイルをインポートします。
3)下図のようにメッシュが取り込まれており、SalomeMeca上で設定したメッシュの集合体(plate1など)や面の集合体(outside2,inside_2など)がインポートされているのがわかりました。Prepomaxの場合は、Elementsetsに集約されるようです。

2.3 解析結果

PrepomaxとSalomeMecaの解析結果はほぼ一致していました。
伝熱解析公式:99.715℃、Prepomax:99.72℃、Saloememeca:99.715℃

3.事例2:接触解析(4角形要素)

3.1 概要

2つの円筒がはめあったときにおける外側円筒(円柱2)の円周応力を計算します。
SalomeMecadでは、円筒のはめあい|Salome-Meca (aytechlab.com)にて解析をしています。

  • 円柱1:内径10mm x 外径20mm x 高さ10mm
  • 円柱2:内径19.98mm x 外径30mm x 高さ11mm
  • しめしろ: 0.02mm
  • ヤング率:200000MPa、ポアソン比0.3(鉄系材料)
  • 出力:外輪はめあい面の円周応力
  • メッシュ:四角形1次要素
  • 接触に関連するパラメータ:SalomeMecaの初期値

3.2 Prepomaxへメッシュインポート

1)2.2の1)と2)と同様の操作で、SalomeMecaのメッシュをPrepomaxへインポートします。
2)下図のようにメッシュが取り込まれており、SalomeMeca上で設定したメッシュの集合体(innerringなど)や面の集合体(inner_baseなど)がインポートされているのがわかりました。Prepomaxの場合は、Elementsetsに集約されるようです。

3.3 解析結果

PrepomaxとSalomeMecaの解析結果はほぼ一致していました。
公式(*):121.9℃、Prepomax:124.9℃、Saloememeca:124.8℃
(*)Web計算ツール:HP「計算技術研究所」内の圧入計算より
URL:https://gijyutsu-keisan.com/webapp/mech/calc_pressfit/explain.php

4.まとめ

SalomeMecaのMeshデータを流用してPrepomaxで解析ができることがわかりました。過去の解析試算を生かせる。
PrepoMaxの操作も、Abaqusを使っていれば思いのほか簡単でした。
過去の解析試算を生かしつつ、SalomeMeca、Prepomaxを使い分けしながら構造解析をやっていけると面白いです。