丸棒の伝熱解析と実験

知り合いの技術士の方から、丸棒の伝熱解析と実験をして結果を比較したのでブログにしてほしいというリクエストがありましたので、いただいた資料から要点を作成しました。
使用ソフト:Salome-Meca 2018 for Windows

1.解析概要

丸棒の下端をバーナーで加熱したときの丸棒任意位置の温度を推定します。
棒は、アルミ、SUSの2種類の材料を使用しました。

2.解析モデル

解析モデル

2.1 モデル寸法

φ4mm(0.004m) x 1m
アルミ熱伝導率:237 W/m・K(AL1010)
SUS熱伝導率:19W/m・K(SUS304)
温度測定位置:熱源から0.1m位置

2.2 拘束条件

1)棒下端面 :熱源
  温度は測定データを入力(詳細は上図)
2)棒側面:熱伝達率 
 1 W/m2・K、10W/m2・K
 機械便覧のデータより自然対流を上下限を狙って入力しました。
3)棒上端面:20℃(常温)
 解析コマンドファイルは、提供いただいたものを使用し、モデルは別途作成しました。

3.解析結果

3.1 アルミ棒の解析結果

1)自然対流1W/m2・K 151.6℃、
2)自然対流10W/m2・K 126.4℃
<自然対流 1W/m2・K>

1mk全体
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<自然対流 10W/m2・K>

画像5

<自然対流1W/m2・K時の温度変化>
棒下端付近の温度が上昇していくのが見て取れます。

3.2 SUS棒の解析結果

1)自然対流1W/m2・K 40.2℃、
2)自然対流10W/m2・K 26.3℃
<自然対流 1W/m2・K>

画像7

<自然対流 10W/m2・K>

画像8

4.実測との比較

4.1 実測概要

実験

上図に示す通り、丸棒をバーナーで加熱して、温度センサを配置して測定してます。機材は以下に示す通り、身近にあるものを使用しています。
1)バーナー:家庭用コンロ
2)丸棒:ホームセンターにて調達
3)Thermometer:Amazonにて調達
  温度センサはK熱電対(-200~1372℃)を選定しました。

4.2 アルミ棒の測定結果

測定結果

アルミ棒の測定値(最高温度):150.1℃
測定値は、アルミ棒の熱伝達率が1W/m2・Kのとき解析結果と同レベルでした。

4.3 SUS棒の測定結果

画像9

SUS棒の測定値(最高温度):40.8℃
測定値は、アルミ棒と同様に熱伝達率が1W/m2・Kのとき解析結果と同レベルでした。

5.まとめ

今回、伝熱解析を行った結果、適切な熱伝達率を設定することで、測定値を予測できることがわかりました。また、2種類の材料を用いても同様の傾向があるため、再現性はあるものと推定します。
熱伝達率を文献で書かれている上下限での設定をすることで、任意位置での温度をある範囲で推定できると考えます。
貴重な情報を提供いただきました技術士様にはこの場を持ちましてお礼申し上げます。ありがとうございました。

<参考資料>
*.med:メッシュファイル、*comm:コマンドファイル
代表でアルミ棒、熱伝達率1 W/m2・Kの条件を記載します