メッシュサイズの調整

今週は、以前行った円筒の伝熱解析についてメッシュを操作することで、どの程度伝熱解析の公式に近づけられるかを試しました。
使用ソフト:Salome-Meca 2018 for Windows

1.解析の概要

円筒内径の温度と外径の温度を任意に設定したときの熱流束を計算しました。なお、円筒内径の温度は、円筒外径より高いです。
詳細は、こちらをご参照ください。
現状のメッシュは、4面体1次要素であり、X軸方向、Y軸方向ともに等間隔に20分割しています。
以下は、熱流束のコンター図と伝熱工学の計算結果です。

画像5
画像4

今回、SalomeMecaによる熱流束の計算結果を伝熱工学の公式に対して±1%以下に抑えることを目標にメッシュサイズの調整にトライをしました。
各面の熱流束は、伝熱工学の公式に対して±1%の場合、
内径面:1886.9~1925.1W/m2、外径面:943.5~962.5W/m2
です。

2.メッシュ変更による再計算結果

解析結果を見ると、Y軸方向はほぼ同レベルのため、Y軸方向の分割数を20から10へ減らし、X軸方向を細分化して再計算を行いました。
細分化は、機能確認を主としたため、トライアンドエラーで試しています。

2.1 ひたすら細分化する

X軸方向:等間隔に500分割、Y軸方向:等間隔に10分割
内径側:1904.8 W/m2
外径側:954.8 W/m2
いずれも伝熱工学の公式に対して±1%以下に収まっています。

結果1

2.2 熱流束の変化が大きい領域を細かく、変化が小さい領域を粗く分割する

”Arithmetic Progression”という分割を使いました。マニュアルを見ると等差数列的に分割するようです。
X軸方向:円筒内径側長さ0.01mmから外径側長さを0.1mmに徐々に大きくなるように分割(このときは83分割)
Y軸方向:等間隔に10分割
内径側:1902.9 W/m2
外径側:958.1W/m2
いずれも伝熱工学の公式に対して±1%以下に収まっています。

結果2

3.まとめ

今回は、メッシュの分割の仕方を変えることで、より公式に近づけられることがわかりました。
この事例では2次元解析だったため解析時間は短いですが、3次元モデルの解析の場合はメッシュの細かさと計算時間は背反関係にあるため、どこまで細かくするかも、都度検討が必要です。
実際の解析は、材料力学や伝熱工学の公式では解けない形状の応力や温度分布などのを計算しますので、最適なメッシュサイズを探るのはトライ&エラーが難しい問題だと思っています。

<参考資料>
メッシュの細分化は、Cyprien Rusuさんの以下youtube動画を見ながらトライしました。