CAELinux2020LiteをWindows10へインストール

家でCAEができるように自宅のPCへ環境構築を行いました。
本記事では、CAELinux2020をWindows10のPCへインストールした事例を紹介します。

インストールの注意点
 インストール前に、PC内のデータや設定等のバックアップをお願いします。私が使っている環境下ではエラーもなく使えていましたが、お使いのPCで不具合が発生する可能性があります。

1.いままでどんなソフトを使っていた?

Windows10Homeでインストールできるソフトは、
(1)SalomeMeca2018 for windows
(2) Ubuntu18.04+SalomeMeca 2019
(3) CAELinux2020、CAELinux2020Lite
 (2)、(3)は、VirtualBox6.0.4上にインストールして使う。
などあります。
いままでSalomeMeca2018、Ubuntu18.04+SalomeMeca 2019を使用していました。

今回は、CAELinux2020Liteを市販品の15インチノートパソコンへインストールしました。
画面サイズ:15.6インチ(解像度:1920x1080)
CPU: intel iCore5(第8世代)
グラフィックコントローラ:オンボード
メモリ:16GB
空き容量:60GB(CAELinux2020Liteの使用量は、25GBでした
)

2.CAELinux2020って何?

オープンソースのソフトで、Linuxにあらかじめフリーウェアの科学技術計算ソフトをあらかじめインストールされており、インストール後即利用できます。
OS:Xubutntu18.04
インストールソフト(例):SalomeMeca、
トップページ:https://www.caelinux.com/CMS3/ 
リリース日:2020.8.11(サイトのpublishedより)情報はこちら

CAELinuxは、CAELinux2020とその軽量版であるCAELinux2020Liteの2種類があります。今回はCAELinux2020Liteを使用しました。
理由は、ハードディスク容量を節約できることと、自分が使いたいソフト(緑のマーカー)はリリースノートを見ると入っているためです。CAELinux2020Liteは、(*)は入っていない模様です。

Contains the following CAE softwares:
・CAE Pre-post processors: Salome_Meca 2019.1, SalomeCFD v8.5(*), GMSH 3.0, ElmerGUI,   
 Helyx-OS, Paraview 5.0.1, FreeCAD , CalculixLaucher & CAE
・CAD-CAM: LibreCad, , FreeCAD 0.18.4, Salome , Meshlab, PyCAM 0.6.4, Flatcam, KiriMoto,
 CAMLab, Dxf2Gcode, Inkscape Gcodetools, cadpy, Cura, Camotics
・Finite Element solvers: Code_Aster 14.4, Elmer FEM, Calculix,
・Computationnal Fluid Dynamics: OpenFOAM v7 and Code-Saturne 5.3 both with CFD analysis
 wizard, Elmer FEM Solver, Javafoil, Javaprop and XFLR5 air foil, propelers and airplane
 analysis tools.
・Electronics: Kicad, Arduino, Flatcam, dxf2gcode & cadpy for isolation milling
・3D bio-medical image processing: ITK-Snap with user filters, Image J, Voxel_Mesher &
 VoxelMesherGUI
・Mathematics & programming : GNU Octave, wxMaxima, R & Rkward, Python 3, Scipy and ・
・Spyder, QT Creator, gcc, gfortran, g++, perl, python, latest Arduino 1.8 IDE
・Document , graphics & office: Inkscape, Gimp, LibreOffice.

CAELinux2020のFeatures文より:https://sourceforge.net/projects/caelinux/files/CAELinux2020/

3.Windowsへのインストール

3.1 事前準備


(1)VirtulBox6.0.4をwindowsへインストール
(2)CAELinux2020Liteのisoイメージをダウンロード
ダウンロードは:https://www.caelinux.com/CMS3/index.php/download/62-caelinux-2020
内したページのDOWNLOAD LINK HEREをクリックします。別のページに移りますので、isoファイルのダウンロードを行います。

3.2 VirtualBox上でインストール

3.2.1 PC以上にCAELinuxのインストール領域を確保する。
(1) 仮想ディスクをつくる 
 推奨は50GB~70GBとあるので、50GBとします。可変サイズにするとドライブの容量を圧迫させません。

(2)インストールメディアの設定
インストールする必要があるので、ダウンロードしたubuntuを設定します。このとき注意する点は、LiveCD/DVDにチェックをいれます。
ストレージを
<追加前>

<追加後>
設定されているのがLiveDVDが追加されています。(

(3)使用環境設定
ディスプレイや起動設定を変更していきます。

3.2.2 インストール


(1) LiveDVDの起動
 VirtualBoxの画面から起動をさせます。

(2)インストールの開始
起動すると下図の画面が出てくるので、InstallCAELinux2020()を選択する。

(3)インストール
設定画面に沿ってインストールしていきます。

インストールを終了させたら、一度シャットダウンをします。(ACPIシャットダウン)を選択。


設定内のストレージからLive CD/DVDの設定を外します。

3.3 GuestAdditionsの設定

インストール後のCAELinux2020Liteは、解像度が640x480mmであり、またWindows上でのデータ共有負荷ができず、不便です。そこで、GuestAdditionsを用いて、画面サイズの調整、ドラッグ&ドロップ機能、データの共有を行います。

3.3.1 GuestAddtionsのインストール


下図にようにデバイスからGuestAdditionsCDイメージ挿入を選択します。


挿入すると、下図画面のようにVBox_GAs_6.0.4と表示されれば成功です。
terminalを開き、terminal上から以下のコードを打ちます。
sudo ./VBoxLinuxAdditions.run

3.3.2 画面サイズの調整


下図のように設定ができます。

3.3.3 Windows10とCAELinux2020Lite上での共有フォルダの設定


共有フォルダの設定により、windows10とCAELinux2020でデータの受け渡しができます。
共有フォルダを”wshare”でして設定したときの事例を書きます。
(1) windows 上の受け渡しフォルダを決めます。  (例 C:¥data¥wshare)
(2) CAELinux2020Lite 上の home 内フォルダに wshare というフォルダを作成します。
(3) VirtualBox 内の共有フォルダー設定を行います。
・フォルダのパス:C:¥data¥wshare → (1)で決めたフォルダ)
・フォルダー名:wshare  → (2)で決めたフォルダ
・Mountpoint:/home/ユーザー名/wshare
 (ユーザー名は、アカウントの設定で登録したユーザー名)

その後、terminal上から以下のコマンドを入力します。
ユーザー名は、CAELinux2020Lite上で設定した名前です。
cd ~/
sudo gpasswd -a ユーザー名 vboxsf

4.CAELinux2020LiteでSalomeMeca2019を使うときの注意点

(1)SalomeMeca2019での使用上の注意
GeometryやMeshの操作中にエラーが出て異常終了することがありました。
対処法は、VirtualBox内のディスプレイ設定をすると解消されました。
一方、エラーはでないという情報もあり、今のところ不明です。
回避策がありましたら、情報提供いただけるととても助かります。

設定の際、GuestAdditionsの設定が無効になる場合があるかもしれません。そのときは、VirtualBox上からCAELinuxLite2020を再インストールをします。

(2) xUbuntuのアップデートはしないほうがよい
CAELinux2020、CAELinux2020LiteともにOSはxubuntu18.04を使用しています。執筆日である2021年2月現在は、xUbuntu20.04が最新OSですが、これにアップデートすると、ソフトがいくつか使えなくなる可能性があります。

This new release can be safely updated as any other Ubuntu install, however DO NOT UPGRADE TO UBUNTU 20.04 as it will probably break some custom packages !!

引用元: https://www.caelinux.com/CMS3/index.php/download/62-caelinux-2020のFeatures

(3) VirtualBoxにインストールしたCAELinuxの仮想ディスクが膨張する

VirtualBoxにインストールしたCAELinux2020の仮想ディスクがインストール時に20GB程度だったのに対して、40GB以上に膨張することがあります。このときの対処法がいくつかありましたので載せます。

CAELinux2020Lite のterminal上から以下のコマンドを入力します。このコマンドを実行すると、インストール時に設定した仮想ディスクの最大値になります。(50GB)
sudo dd if=/dev/sda1 of zero bs=4k

続いて、Windows上のコマンドプロンプトで操作を行います。
予め仮想ディスクが保管されているフォルダへパスを移動させてから以下のコマンドを入力します。
vboxmanage.exe list hdds

VirtualBoxのUUID(仮想ディスクの管理番号)が出て来るので、以下のコマンドを入力します。入力後、データの容量が減少していることがわかります。
VBoxManage modifyhd 仮想ディスクの管理番号–compact

5.SalomeMeca2019の起動と終了

CAELinux2020でのSalomeMeca2019 の起動と終了方法を示します。
(1) SalomeMeca の起動
①画面右上のボタンをクリックします。
②検索バーが出てきますので、salome と入力します。
③検索バー下に salome_mecaV2019 が表示されますのでクリックします。
④ SalomeMeca が起動します。

(2) SalomeMeca の終了
メニューバーから File をクリックし、Exit をクリックします。

6.まとめ

私の備忘録もかねてWindowsパソコンでSalomeMeca2019を使用する方法を紹介しました。
CAELinuxLiteは、多くの科学技術計算ソフトが使える環境のため、使用環境の構築に時間がかからないのが一番のメリットです。
CAEソフトは高額なため個人での購入は難しいですが、このようなソフトを使うと個人で触って学ぶ機会が作れます。
興味のある方は挑戦いただければと思います。