筆記試験でコンピテンシーをどう表現する?

令和元年度(2019年度)から筆記試験の評価項目として「コンピテンシー」という言葉が導入され、戸惑っている方が多いのではないでしょうか。
当記事では、筆記試験時に試験時にどのような点を意識したらよいかを書きました。受験を志す方は、有能な方なので無意識におこなっているので、やって当然と考えていると推測されるため、かえって難しいのかもしれません。
そこで、筆記試験でどうやって文章で表現するかを考えました。

1.コンピテンシーとは?

優れた業績を残した人の行動特性を指します。

約15年ほど前、現在の会社に入社したときに職場の上司から説明を受けました。
企業内の人材育成にあたり、上司が、部下の業務中の行動を優れた人の行動特性を基準に定期的チェック、指導をすることで、効果的な人材育成を狙います。
私自身は、上司と部下との評価ギャップ差を埋めるという効果もあると考えています。
今でいうとロールモデル、見習いたいほどすばらしい人の行動を見習うともいえます。

2.技術士試験でのコンピテンシーとは?

2.1 どんな項目がある?

コンピテンシーは、専門的学識、問題解決、マネジメント、評価、技術者倫理、コミュニケーション、技術者倫理、継続研さんで全7点です。どういった点を表現できれば良いかを書いていきます。

技術士試験の評価項目は、
必須科目I
専門的学識、問題解決、評価、技術者倫理、コミュニケーション

選択科目II-1
専門的学識、コミュニケーション

選択科目II-2
専門的学識、マネジメント、リーダーシップ、コミュニケーション

選択科目III
専門的学識、問題解決、評価、コミュニケーション

です。

2.2 どういった点を注意する?

技術者に求められるコンピテンシーは、論文内でどう表現したら良いかを書いていきます。

専門的学識
・技術士が専門とする技術分野(技術部門)の業務に必要な,技術部門全般にわたる専門知識
及び選択科目に関する専門知識を理解し応用
すること。
・技術士の業務に必要な,我が国固有の法令等の制度及び社会・自然条件等に関する専門知識
を理解し応用すること。

引用元:技術士令和3年度技術士第二次試験受験申込み案内 P.10

一言でいうと、専門分野に関する知識を持っていることを示せばよいと思っています。
選択科目II-1の場合、専門用語を600文字で説明できること(例は、当サイトのこちらをご参照ください)
選択科目II-2、III、必須科目Iでは、専門知識を文章内に入れて示すことです。
機械部門だと、ごく一部を挙げると、リスクアセスメント、3ステップメソッド、コンカレントエンジニアリング、マルチマテリアル、AM(アディティブマニュファクチャリング)などがあります。

問題解決
・業務遂行上直面する複合的な問題に対して,これらの内容を明確にし,調査し,これらの背
景に潜在する問題発生要因や制約要因を抽出し分析すること。
・複合的な問題に関して,相反する要求事項(必要性,機能性,技術的実現性,安全性,経済
性等),それらによって及ぼされる影響の重要度を考慮した上で,複数の選択肢を提起し,こ
れらを踏まえた解決策を合理的に提案し,又は改善すること。

引用元:技術士令和3年度技術士第二次試験受験申込み案内 P.10

 問題発生要因や制約要因を抽出し分析するといった場合、「課題を多面的に抽出し分析せよ」という趣旨の設問に対して、専門知識だけでなく、費用、期間、安全性、人員配置等の制約を踏まえてリストアップします。
 相反する要求事項を踏まえた解説策を提案するといった場合は、「提案した解決案に対して、共通するリスクとその課題を述べよ」という趣旨の設問に対しては、解決案自体やリスクについて専門知識を踏まえた内容で回答をします。論文回答するときは、提案した解決案を複数挙げる際に共通するリスクがあるかを確認したうえで、論文を作成していきます。

マネジメント
・業務の計画・実行・検証・是正(変更)等の過程において,品質,コスト,納期及び生産性
とリスク対応に関する要求事項,又は成果物(製品,システム,施設,プロジェクト,サー
ビス等)に係る要求事項の特性(必要性,機能性,技術的実現性,安全性,経済性等)を満
たすことを目的として,人員・設備・金銭・情報等の資源を配分すること。

引用元:技術士令和3年度技術士第二次試験受験申込み案内 P.10

一言でいうと、成果物に対して手持ちの力(人、モノ、金、別名:3Mともいいます)をうまく配分して、やりかた(手順)を考えて、最大限の効果を発揮することだと考えます。
<例>医療機関の電気設備を、BCP(事業継続計画)の視点で地震や火災からあったときに維持する
要求事項の特性:①設備が止まらないこと、②とまっても早期に復旧させられる
人員・設備・金銭・情報等の資源を配分:①医療機関の設備担当へ災害発生時に早期に普及させる、②早期にできなくても最低限の対処が行える方法を記載したマニュアルを協議しながら取り交わす、③金銭の制約を考えて止めると、患者の生命維持に問題がある設備だけ自家発電や蓄電池で電源を維持する
などがあります。

評価
・業務遂行上の各段階における結果,最終的に得られる成果やその波及効果を評価し,次段階
や別の業務の改善に資すること

引用元:技術士令和3年度技術士第二次試験受験申込み案内 P.10

必須科目Iと選択科目IIIの場合、解決策の提案とその効果に対してどのような懸念点あるかを抽出し対策案を考える設問に該当します。

コミュニケーション
・業務履行上,口頭や文書等の方法を通じて,雇用者,上司や同僚,クライアントやユーザー
等多様な関係者との間で,明確かつ効果的な意思疎通を行うこと。
・海外における業務に携わる際は,一定の語学力による業務上必要な意思疎通に加え,現地の
社会的文化的多様性を理解し関係者との間で可能な限り協調すること。

引用元:技術士令和3年度技術士第二次試験受験申込み案内 P.10

一点目は、必須科目I、選択科目II-2、選択科目III共に設問の順番(1)、(2)、(3)に沿って記述することだと考えます。
2点目は、読みやすい文章を書くというのがあります。
例:①章立てをして、1段落当たり2~3行程度に抑える。②箇条書きにする。
また、「明確かつ効果的な意思疎通」の例を挙げます。
・何かの業務改善をしたときに、ノウハウを個人に留めず手順書を作成すること標準化を進めた。
手順書を作成する自体が明確な意思疎通だと考えます。また、標準化をすることで個人ではなく所属する組織の所属員が改善した業務手順にのっとり効率的に業務を示せることから、効果的な意思疎通ができたと考えます。

リーダーシップ
・業務遂行にあたり,明確なデザインと現場感覚を持ち,多様な関係者の利害等を調整し取り
まとめることに努めること。
・海外における業務に携わる際は,多様な価値観や能力を有する現地関係者とともに,プロジ
ェクト等の事業や業務の遂行に努めること。

出典:技術士令和3年度技術士第二次試験受験申込み案内 P.10

選択科目II-2では、ある業務に対する遂行手順を示し、リスクと対策を示すというものが多いので、指定されているものと考えます。
「明確なデザイン」をある業務に対する業務手順で示し、「現場感覚」で、専門知識から達成可否や検討項目の優先順位を選ぶというのが該当すると考えられます。

技術者倫理
・業務遂行にあたり,公衆の安全,健康及び福利を最優先に考慮した上で,社会,文化及び環
境に対する影響を予見し,地球環境の保全等,次世代にわたる社会の持続性の確保に努め,
技術士としての使命,社会的地位及び職責を自覚し,倫理的に行動すること。
・業務履行上,関係法令等の制度が求めている事項を遵守すること。
・業務履行上行う決定に際して,自らの業務及び責任の範囲を明確にし,これらの責任を負う
こと。

出典:技術士令和3年度技術士第二次試験受験申込み案内 P.11

 必須科目Iに該当する項目です。設問(4)で「技術者としての倫理、社会の持続可能性の観点から述べよ」というものがあります。
 技術者としての倫理は、日本技術士会HP内にある技術者倫理要領(全10の基本綱領)を今一度読んで自分の中で消化して記載するとよいと思います。
 技術者としての倫理は、基本綱領内の「公益の利益の優先」「法規の順守」の視点でかくとよいと思います。   「法規の順守」の場合、①RoHS2、REACH規制等の環境規制に順守したものつくりを実施する、②作業者の安全確保のために労働安全衛生法に沿った設備の安全対策を実施するが考えられます。
 社会の持続可能性の観点は、リサイクル技術の活用により廃棄物を減らす、消費エネルギーも該当します。
 一例だと、アルミニウムをリサイクルするエネルギーは、素材(ボーキサイトから)の製造エネルギーに対して3%程度言われています。
 別の視点では、製品のモジュール化設計により、消耗しやすい部品を交換しやすい構造に設計して、廃棄物を減らすという考え方があります。

3.まとめ

今回は、コンピテンシーをどう書いたらいいかを、論文添削を行っていた時に気が付いた点を元に書きました。
過去問を解いてるときに煮詰まったら当記事を読みまして、煮詰まり解消につながれたらうれしい限りです。