選択科目II-2 論文作成例

2018年に技術士(機械部門)、選択科目:機械設計を受験したときの論文作成例を元に注意した点を書きました。私が3年前に書いた論文を自己添削しました。
論文どうやって書いたらよいだろうと悩む方がいると思いますので、私が3年前に書いた論文を自己添削しました。

1.当時の論文作成例

1.1 選択科目II-2を選んだ理由

II-2は600文字原稿2枚(1200文字)で回答する問題です。
II-2は、ある問題に対してやるべきこと(課題)を確認し、そのやり方を手順を示すとともに、手順実施にあたり気を付けないと失敗する点を記述する事例が多いです。
勤務先の仕事でも、社内や社外から問題解決の問い合わせに対して、対策と対策した場合のリスクや留意点などを回答していると思いますので、選択科目に必要な専門知識さえあれば書きやすいと考えます。
また、1200文字の記述できないと、600文字原稿3枚(1800文字)である必須科目Iと選択科目IIIを記載するのはより難しいと考えます。

1.2 論文作成例

平成29年度技術士(機械部門) 選択科目:機械設計
問題II-2-1

近年、多様なニーズへこたえるために、新しい製品をより短い期間で開発することが求められている。製品開発の責任者として、開発期間の半減を目標とした場合、機械設計の観点から下記の内容に答えよ。
(1)目標達成のために活用する設計手法を3つ上げよ。
(2)(1)の事項の内、最も重要なものを取り上げ、開発プロセス内のでの使い方開発期間短縮を含めた期待効果を述べよ。
‘(3)(2)を進めるうえでの留意すべき点を述べよ。

引用:日本技術士HP内掲載の平成29年度問題より:URLはこちら
赤マーカー:回答する上で押さえておく点

2018年当時の回答(原文)

開発期間半減を目標とした設計手法の活用
(1)開発期間半減を達成するために利用する設計手法

 
開発期間を短縮するためには大きく以下の点が重要
である。
①QFDを活用し市場要求を設計インプットに整理する。
②既存部品を活用する。③設計の手戻りを減らす。④
試作回数・評価回数を減らす
 活用する手法としては以下が考える

a)フロントローディング
b)モデルベース手法
c)DRBFM
(2)開発プロセス内における使い方
(a)~(c)の内のモデルベース手法が重要と考えるため、
これについて述べる。
(2)-1 開発プロセス内における使い方
設計段階の内、以下のプロセスにて活用される
a)概念設計:これは、機構・構造などの機械部分、モ

ータなどの電気部分、モーターのソフトとのソフトウ
ェアを微分方程式や数式を活用して表現する。これに
より、装置の動作をあらわす。

b)詳細設計:各部品について荷重、熱、電気等の条件

からCAEを活用して、材料の選定、熱処理、表面処理
を決定する。機械部品の場合、引張強度や疲労強度、
共振、座屈等を確認する。
(2)-2 開発短縮を含めた期待効果
a)試作回数の削減
 
数理モデルにより製品の構造を表現するため、計算
上で設計が完了できる
。これに伴い、試作回数を減ら
すことができる。

b)類似モデルの設計期間短縮
 製品を数理モデル化した場合、寸法が違う製品にも
展開ができる。これにより数理モデル上で設計完了で
きるため、開発期間を短縮できる。
(3)(2)を進めるうえでの留意点
a)シミュレーション上の設計検証および妥当性検証を
行い、実機を適切に数理モデルを表現していることを
確認する

b)摩擦係数の特定
 摩擦係数は、接触する2面間の条件により変動が大

きく、計算上での予測が難しい。例えば、①ブレーキ
などの制動要素、②すべり軸受などの動力伝達に伴う
エネルギーロスがある。
対処法は、実測により摩擦係数を確認し、数理モデル
に反映させる。               以上
(24文字x43行)

1.3 自己添削

私が普段論文を添削しているやり方で自分の論文を見ます。
論文には、色付けでチェックをしています。
緑マーカー:キーワード
赤マーカー:問題あり
青マーカー:適切な記載

1.3.1 全体

モデルベース設計手法を活用して、試作および評価回数を低減する視点はよいと思います。
ただし、説明不足が散見されるため、意図を読み取るのが難しいと考えます。
例えば、(2)モデルベース設計手法を採用するのは、製品の性能を計算から予測できるため、仕様にあった最適設計を選ぶことで試作レス(開発期間短縮半減)を狙えるからです。
「(a)~(c)の内のモデルベース手法は、製品の性能を計算から予測できるため、仕様にあった最適設計を選ぶことことで試作レスによる開発期間短縮を狙えるため、重要と考える」
と記載するとつたわりやすいと考えます。
論文内に、頻繁に数理モデルが出ますがひとことこの説明も必要です。ただし、ここは、「機構・構造などの機械部分、モータなどの電気部分、モーターのソフトとのソフトウェアを微分方程式や数式を活用して表現する。」と数理モデルの説明しているので、この後の文章を「これを数理モデルといい、装置の挙動を示す」
とすればよいと考えます。
また、「製品開発の責任者」という視点もあるので、設計手法はコンカレントエンジニアリングでもよいと考えます。

1.3.2 よかった点

・冒頭にタイトルが1行書いてあるので、論文の趣旨がわかりやすいです。
・設問に沿って回答していました。

1.3.3. 気になった点

(1)について
(1)ー1 用語を正しくことや省略をしないこと
モデルベース手法 → モデルベース設計手法
QFD → QFD(品質機能展開)
DRBFM → DRBFM(Design Review Based on Failure Mode)
例えば、「3R」といってもレデュース、リユース、リサイクルとは想像できないためです。
(1)ー2 記述が読みにくい
①~④は開発期間短縮で抑えるべき重要点、a)~c)は設計手法を挙げています。重要点というより開発期間短縮に必要な視点と設計手法を関連付けたほうが伝わりやすいです。
論文では24文字x8行で記載していますが、この書き方にすると7行に短縮できます。
123456789012345678901234
開発期間を短縮するには、①~③の視点がある。
①試作回数・評価回数を減らす
②既存部品を活用し
新規部品を減らす。③既存部品の設計変更による設計
の手戻りを減らす。
上記に対応する設計手法は、以下である。
①モデルベース設計手法、②モジュール化設計、③D
RBFM(Design Review Based on Failure Mode)
123456789012345678901234
(2)について
開発短縮を含めた期待効果低減で、試作回数低減を述べていますが、
「数理モデルにより…複数の設計例を計算上で確認し、用途に合った最適設計を選択できる。」
としたほうがよいと考えます。
(3)について
a)のシミュレーションモデルの設計検証、妥当性検証の記載があり、留意する点の視点としてはよいと考えます。今回は、開発期間短縮が目的のため、概念設計をする段階で開発する製品が数理モデルの適用可否を確認することだと考えます。
「概念設計時に、実機を表現した数理モデルが開発製品に適用できるかを確認する。適用不可の場合は、新規に数理モデルの作成を行う」

2.現在の試験方式で設問のポイント

令和元年度から試験制度が変わり、選択科目II、選択科目IIIの設問も変わったことや、必須科目Iも出てきました。その点についても、私だったらどうするか?を書きます。

2.1 必須科目Iの設問(技術者倫理、社会の持続可能性)

上記事項を業務として遂行するに当たり、技術者としての倫理に、社会の持続可能性の観点から必要となる要件、留意点を述べよ。

引用:日本技術士HP内掲載の令和元年度機械部門必須問題Iより:URLはこちら
(他部門の必須問題Iも同様の記載あり)

令和元年から上記のような設問があります。昨年、論文を添削したときに迷いました。
「技術士倫理」は、日本技術士会での技術士倫理要領内の「公衆の利益」、「法規の順守」があるので、この2つに基づいた記述でよいと考えます。なお、この要領には「持続可能性の確保」もありますが、社会の持続可能性にて記載してほしいとの意図だと考えます。
社会の持続可能性だと、設備や製品に環境負荷物質を使用しない、または製品のリサイクル率向上だと考えます。ですので、製品に環境負荷物質を採用しないなど、環境に配慮したことを示す記述でよいと考えます。

2.2 選択科目II-2の設問(関係者との調整方策)

関係者としてみた場合、発注者側と受注者側(設計者)、社外と社内、自分の所属部署内と関係部署など対比させて書くのがよいと考えます。
コンピテンシーの「コミュニケーション」一言でいうとぼやけてしまうので、「関係者との交渉」や「書面による文書の取り交わし」、「メリットとデメリット」など趣旨を明確にして説明するとよいと考えます。

2.3 選択科目II-2の設問(留意すべき点、工夫する点)

選択科目II-2でよく出てくる設問で、言葉がややこしいのですが、国語辞典を見て考えると、
留意:業務の遂行に際してあることを怠ると失敗する。
工夫:業務の遂行に際して良い方法を考え出すこと。
を意識して書くとよいと考えます。

工夫する点を本ブログの論文作成例で考えた場合、例えば、
「計算上で完結できないモデルがある場合、専門チームにへ依頼し基礎データを取得する。または、あらかじめ日ごろから開発を行い数理モデルを作成する。」
があります。

2.4 選択科目II-2の設問(関係者との調整方策)

選択科目IIでよく出てくる設問で、国語辞典を見て考えると、
効率的:無駄を減らし現状と同等の効果を上げる
効果的:あることをやると現状より大きな効果を得る
を目安に書くといいと考えます。

効率的を本ブログの論文作成例で考えた場合、例えば、
「新規に数理モデルを作成する場合、適用範囲を製品の使用範囲(寸法、材料、使用条件)を鑑みて決める」
があります。新規で数理モデルを作ること自体、難しいことが予想されることから作成に時間がかかるために、適用範囲を限定して効率をあげたほうがよいと考えます。

2.5 選択科目IIIの設問(複数の解決策に共通するリスクとその対策)

(2)抽出した課題のうち最も重要と考える課題を一つ挙げ、その課題に対する複数の解決案を示せ。
(3)解決策に共通するリスクとのその対策について述べよ。

引用:日本技術士HP内掲載の令和元年度機械部門選択科目IIIより:URLはこちら
(他部門の選択科目IIIも同様の記載あり)

選択科目IIIの(3)にある設問で、率直に難しい設問だと考えました。
複数の解決案はどちらかいうと、共通するリスクがあるよりそれぞれ別個のリスクがあるケースが多いと推察します。論文では、(2)の段階で共通するリスクがある解決策を記述すると考えます。

3.まとめ 

自分の論文を見返すと、足りない点がたくさんあり、改めてよく合格できたなと思いました。
何回か受験している場合は、過去にご自身が作成した論文を見返すと、足りない点が見えてくると考えます。
加えて、新試験制度での設問についても記載のコツを記載しましたので、論文作成に悩んでいる方はご一読いただければと考えます。