シェル要素による片持ちはりのたわみ

片持ち梁の変位計算をシェル要素を用いて計算しました。
なお、この記事は、”Code_Aster & Salome-Meca 日本語解説”内のチュートリアル2を見ながら、解析を行いました。
2023.8.15 誤記があったためリライト

<記事作成時環境>
 Salome-Meca 2018 for Windows
<動作確認環境>
 Salome-Meca 2018 for Windows
 Salome-Meca 2019 (OS :ubuntu18.04 , CAELinux2020Lite)
Salome-Meca 2021 for Windows(OS :Windows11)

1.解析概要

板の長手方向端面を固定して、反対側の端面に荷重をかけたときのたわみを確認します。

板

モデル寸法:板:長さ1m、幅0.1m、高さ(厚み)0.01m
      ヤング率:2.1×1011 MPa、ポアソン比0.3
      荷重:-1,100N
X方向:板の長さ、Y方向:板の幅、Z方向:板の高さ(厚み)

<拘束条件>
1.端部(Fix)の底面を完全拘束(X,Y,Z,X軸回り,Y軸回り,Z軸回り)
2.荷重(Load)の断面を-Z方向に負荷
       (コマンド上は、接点に荷重を負荷する)
<要素>
 4角形一次要素(DKT要素)

Meshコマンドやasterコマンドで設定を行い、解析を行いました。
DKT要素は、Salome-mecaのコマンドで板の上面、下面、中立面を選択することで、これらの位置の出力を確認できます。
<図解>

面設定流

<Salome-Meca上の設定>

面設定
面設定2

2.解析結果および検算

材料力学の公式によりたわみと曲げ応力の計算を行いまして、解析結果と比較しました。

2.1 材料力学の公式による計算

(1)荷重位置のたわみδ
 δ = P x L3 / 3 x E x Iy
 P:荷重(N)、L:長さ(m)、Eヤング率(Pa)、
 Iy:断面2次モーメント(y軸回り)(m4)
 δ = 1100x 13 /  { 3 x 2.1 x 1011 x 8.3333x 10-9) } =0.2095mm
(2)曲げ応力σ (はり上端位置)
 今回の曲げモーメントの場合、はり上端(+z方向)位置の応力が最大になるため、曲げ応力(X方向の応力)は
 σ = M / Iy x z
   M:曲げモーメント(Nm)、Iy:断面2次モーメント(y軸回り)(m4)
 z:はり上端位置(今回長方形断面のため、高さ/2)(m)
 σ = 1100 x 0.1 / 8.333 x 10-9 x 0.005 = 75000000 Pa = 66MPa

2.2 解析結果と検算

2点を確認した。
DEPL_DZ 荷重位置のZ方向変位(板の厚み方向)
NOEU_SIXX X方向の応力(板の長さ方向)

1)上面の場合
板は上面側が引っ張られるため、X方向の応力は正です。そのため、固定部の値が大きいです。

画像5

2.中立面の場合
板は中立面のため、応力は0である。

画像6

3.下面の場合
板は下面のため、曲げ応力は圧縮になることから、X方向の応力は負です。材料力学の公式と比較すると、変位はほぼ理論値に近くなり、曲げ応力は公式上よりずれが大きくなりました。拘束位置にあるのが影響している可能性があったと推察します。

画像7

3.その他

Kengo MEADA様におかれましては、貴重なデータを「Code_Aster & Salome-Meca 日本語解説」のWeb上へ公開いただきましたこと、お礼を申し上げます。

<引用記事>
Code_Aster & Salome-Meca 日本語解説”内のチュートリアル2
URL:https://sites.google.com/site/codeastersalomemeca/home/salome-meca-chutoriaru2

<Salome-mecaデータ>
*.med—メッシュファイル
*.comm—コマンドファイル(SUPの条件)